「イラストレーター」であり続けること──宇野さんは、画家や芸術家と名乗らずイラストレーターにとどまり続けています。ポリシーがあるのでしょうか? 昔働いていた日本デザインセンターの先輩が、僕のことを幇間(ほうかん)、つまり太鼓持ちと評したんです。場を賑やかにする芸者とスポンサー的なお金持ちの旦那がいて──イラストレーターの場合、それは企業や出版社や新聞社だったりするわけですけど──芸者や旦那を面白がらせて、自分も楽しんでいる大鼓持ちがいる。いわば自分で芸をやる画家とは違って、太鼓持ちのイラストレーターは、こういうメディアとテーマでやってほしいと言うスポンサー側の要求に応えます。僕はこれが自分の言いたいことだと言わずに、よそからきたテーマに対して、ターゲットは女か男か、若い人か否かとか、そういう計算をしながら、視覚化していくのが面白い。だから幇間とは、うまいこと言うなと思ったんです。 会社に入