エロイカが初演された部屋(ロプコヴィッツ宮殿のエロイカザール) 〝冗談〟という意味のスケルツォ ベートーヴェンの交響曲 第3番 変ホ長調 Op.55《エロイカ(英雄)》。 今回は第3楽章を聴きます。 前作の第2シンフォニーからすでに、第3楽章はメヌエットからスケルツォに置き換えられていますが、この曲に至っては、もはや古典派シンフォニーのメヌエットは影も形もありません。 スケルツォとは、イタリア語で「冗談」「諧謔」という意味です。 ユーモアたっぷりの、おどけた音楽、というニュアンスです。 古典派シンフォニーの第3楽章をメヌエットにすることを定着させたのは、交響曲の父ハイドンですが、これをスケルツォに置き換えることを始めたのも実はハイドンです。 ベートーヴェンはこれにメヌエットを超えた表現の幅を見出し、積極的に取り入れました。 ハイドンの意図は、シンフォニーの中に利かせたスパイス的なものだった