JR根岸線の石川町駅で集合し、首都高狩場線が上を走る人工河川の中村川沿いをしばらく歩く。海岸段丘の発達した横浜は、下町と山の手が狭いエリアにぎゅっと凝縮している。川の右手を行けばドヤ街(日雇い労働者の街)で知られる寿町や歓楽街の伊勢佐木町、左手の坂を登れば、外人墓地や港の見える丘公園などの高級住宅街が広がっている。その狭間に「お店のようなもの2号店」はあった。「のようなもの」とはいったい何だろう。そんな疑問を浮かべながら格子の引き戸を開くと、バズカットにパッチワークのワンピースを着た、かとうちあきさんが出迎えてくれた。 かとうさんは、10年ほど前に『野宿入門』(草思社)や『野宿もん』(徳間書店)などの野宿関連書籍を立て続けに世に出した。そして、野宿愛好者を増やすために『野宿野郎』というミニコミ誌を出版し、野宿イベントやノジュロックなどの野外フェスを主宰している野宿の伝道師のような人だ。 「