さらに2013年、フランスの社会学者ティボー・ル・テクシエが実験の記録調査に乗り出した(驚くべきことに、スタンフォード大学でジンバルドの資料を調べたのは彼が初めてだったという。それまで誰も、一次情報に当たって調べたことがなかったのだ)。そこで判明した事実はあまりに衝撃的だった。 実験の発案者は学生だった まずそもそも、この実験を思いついたのはジンバルドではなく、ジャッフェという修士課程の学生だった。サディスティックな側面を持つジャッフェは、まずはスタンフォード監獄実験のテスト版に当たるミニ実験を行い、ジンバルドの興味をひいた。ジンバルドはジェッフェを研究助手として雇い、こう命じた。「優れたサディストとしての経験をもとに戦術を提案しなさい」。 実際のところ、17のルールのうち11のルールはジェッフェが考えたものだ。「足に鎖をつける」「囚人を裸にする」「15分間、裸で立たせる」などだ。ジンバル