この世のすべてのものは、変化してとどまることがない。命あるすべてのものの定めである「死」のあり方も、例外ではない。かつて人は家族に囲まれて死んだ。今は病院で死ぬ。社会が高齢化し、死への向き合い方も看取り方も変わってきた。 日本は平均寿命が世界一長い。だから人が老い、衰えてから実際に死を迎えるまでの期間も長い。そんな日本をいわば実験場のように見ているのが、高齢化問題に直面するほかの先進諸国だ。なにしろ日本は人口の30%が65歳以上なのだ(フランスは18%)。10年後には、75歳以上が人口の4分の1を占めるという。 医師の小堀鷗一郎(こぼりおういちろう)が日本の在宅医療と在宅看取りについて書いた著作『死を生きた人びと』がフランスで出版された。フランスの医師で政治家のグザヴィエ・エマニュエリが寄せた序文にはこう書かれている。 「この本は医療や社会のあり方についてのこれまでの考え方を問い直し、変え