ツイッター(現X)は2009年頃から日本で広まり始めたが、当時はとても牧歌的だった。「ランチなう」といった言いまわしで、ささやかな楽しい日常をつぶやく場所だったことを懐かしく覚えている人も多いだろう。しかし2010年代に入ると、だんだんと政治的になり、過激で攻撃的な投稿があふれるようになった。いまの荒涼としたツイッターを見ていれば、「社会を分断している」というのは当たっているように見える。 しかし、実はそうではないことがいくつもの研究によって指摘されている。アメリカの社会心理学者、ジョナサン・ハイトは『アメリカ社会がこの10年で桁外れにバカになった理由』(『クーリエ・ジャポン』公式サイト、2022年6月12日)で、SNSは社会のすべての人たちを分断しているのではなく、少人数の過激なグループの分断を深めているだけなのだと指摘している。アレグザンダー・ボールとマイケル・バン・ピーターセンという