十数人の山伏の中に1人、細身の外国人女性が交じっていた。福岡県の宝満山(829メートル)は古来、修験道が盛んで「祈りの山」とも呼ばれる。女性は山頂に向かう間、ほこらなどがあるたびに手を合わせていた。何を感じ、どこに心を寄せたのだろう。 宝満山の歴史に関心のある僧侶や研究者などでつくる「宝満山修験会」が毎年5月、一般登山者とともに山の神に祈りながら山を巡る「峰入り」がある。僧侶たちと同様に山伏姿のロベルタ・ティベリさん(41)は今年、イタリアから4年ぶりに参加した。 宝満山登山は6回目になる。出合いは九州大の大学院生時代。最初に住んだ福岡市南区に、修験会に加わる藤野賢隆(けんりゅう)さん(71)が住職の本行院があった。満開のサクラに誘われて立ち寄った本行院で、宝満山の峰入りがあることを知り、興味を持った。 ベネチア大では日本語専攻。「山伏の格好をして登りたい」と願い出ると「最低でもお経が唱え