とある事情で家を出た17歳のユイと、両親を事故で亡くしたショックで言葉を失った8歳のひより。行き場のないふたりが、謎の老婆・キワさんとの出会いを通して「マヨイガ」で暮らし始める――。そんな不思議で温かな物語を描く劇場アニメ『岬のマヨイガ』。本作で監督を務めた川面真也へのインタビュー第1回では、ストーリーやキャラクターについて聞いた。 ――柏葉幸子さんの原作小説を読んだ感想はいかがでしたか? 川面 児童文学というカテゴリーの作品ではあるのですが、主人公の主婦・ゆりえがDVを受けていたり、小学生の萌花は両親との死別によるPTSDで失声症に陥っていたり、そしてキワさんは身寄りのない老人だったりと、意外にも重い内容を扱っていることに面食らいました。物語の舞台は「3.11(東日本大震災)」の爪痕が残る町ですしね。児童文学というと、もっと子供向けのライトなイメージがあったのですが、『岬のマヨイガ』には