承認欲求と所属欲求については、これまで、たくさんのことが語られてきた。 特に承認欲求については90年代から四半世紀近く、手垢がつくまで語られまくったと言える。 それはなぜだろう? ひとつにはマズローが90年代の段階でよく知られていたからだろう。マズローの心理モデルは学術畑では陳腐化していたが、自己啓発やビジネス書界隈ではまだまだ知られる存在だった。今でも知られている。その先駆けとなったのは自己実現欲求だ。自己実現という語彙をとおしてマズローは広く知られ、次いで承認欲求が知られるようになっていった。 マズローで一番有名なのは承認欲求だ、と思ったらたぶんそれは間違い。歴史的にみれば自己実現欲求のほうが広く知られたのだと思う。それが、00年代から特に承認欲求が知られるようになり、インターネットやSNSの普及とともに主流になっていった。昨今、マズローの言葉が引用されるとして、その多くは承認欲求だろ