薄揚げをいれるだけで お味噌汁のコクはぐんとあがる。 なぜもう少し丁寧に切らなかったのだろう と、写真にとってみるたびに 自分のズボラっぷりを思い知る。 一昨日の朝つくった朝晩用の味噌汁。 夫と私のその日の晩ごはんでは、 酒粕だけドバッといれて 粕汁に姿を変えた。 粕汁が嫌いな娘は そのにおいに鼻をつまみ、 ひとりだけ 前日にひと皿分だけどうにか残した トマトハヤシにがっつく。 晩ごはんのあと、 「パパ、粕汁どうやった?」 と娘にきかれ、 「思ったよりは美味しかった」 と夫がこたえた。 夫が粕汁をすすりながら 娘のプレーンオムレツ(いや、炒り卵…)にだけ たっぷりかかったトマトハヤシを 羨むようにみていたこと。 気づいていたけど 気づかないふりをした。 「思ったよりは」の 「は」だって きかなかったふりをして、 知らないふりをつづける。 夫がめずらしくやたら大きな声で 娘に話しかける。 「