獅子心王ことイングランド王リチャード1世(在位1189~1199)が自身の剣に伝説のアーサー王の愛剣と同じエクスカリバー” Excalibur ”と名付けていたという説が広く知られている(注1)。本当だろうか?結論から言うとリチャードが持っていた剣はエクスカリバーではなくカリバーンであった。以下まとめ。 アーサー王の剣中世ウェールズの伝承を集めた「マビノギオン」に収録されている「キルッフとオルウェン(キルフーフがオルウェンを手に入れたる次第)」(1100年頃成立、注2)に、アルスル(アーサー)の剣として「カレトヴルッフ(カレドヴルフ、ウェールズ語”Caledfwlch”または”Caletuwlch / Kaletvwlch”)」(注3)という剣が登場する。 ウェールズ伝承を元に、アーサー王物語を描いた「ブリタニア列王史」(1136頃)を著したジェフリー・オブ・モンマスは「カリブヌス(ラテン