低価格競争が激しい牛丼業界。創業111周年を迎えた老舗の吉野家が、業界最安値と並ぶ280円の新メニュー「牛鍋丼」を全国発売すると発表するなど戦いは激しくなるばかりだ。“牛丼安値戦争”が過熱する中、消費者からは300円を切る価格設定に、「なぜここまで値段を下げられるんだ」と単純な疑問の声も上がる。企業努力で骨身を削る体力勝負なのか。消耗戦が続く現場から牛丼業界の今後をみた。(楠城泰介) 新商品の発売で行われた記者会見。商品の説明を行う安部修仁社長 ・ ■提供時間10秒のファストフード 「いらっしゃいませ」 「つゆだく一丁入りました」 川崎市川崎区のすき家の郊外型店舗。一日で最も混雑するという正午30分前から、店舗内の客席が徐々に埋まり、店員の大きなかけ声が響き始める。シフトが変わり店舗内はフロアや厨房(ちゅうぼう)など計4人いた店員が一気に10人に増えた。 「スピード提供すること