市に住んでいるからこそ、自然を身近に感じながら暮らしたいという人が増えています。都心の狭小敷地でも、通風や採光を考え、建物緑化に積極的に取り組む家が増えました。建築家の永山祐子さんが設計した〈丘のある家〉は、三方を建物に囲まれた東京都心の敷地に建つ住宅。そこにどのように光を採り込み、閉鎖性をどう乗り越えたのか。教えて! 永山先生。 ――永山さんが考える「自然を採り込む都市型住宅」のイメージは? 「快適な通風や採光が得られるプランはもちろん重視しますが、自然の恵みを活かして便利に暮らすだけではなく、日本人の暮らしと自然の間の精神的な距離感も大切なのではないかと思うようになりました」 ――精神的な自然……ですか。 「自然と人とは本来どういうかかわり方をしていて、人は自然に何を求めていたのか。自然は優しいだけではなく、畏敬の存在として、身体的には簡単には近づけないけれど、心は近づける特別