【ソウル=門間順平】北朝鮮にとって兵器輸出は外貨稼ぎの柱の一つだが、最近は海外に派遣したハッカーの給与を吸い上げる形で外貨を得るなど、手段は多様化している。 兵器輸出をめぐっては、2009年6月に兵器を積んだとみられるミャンマー向けの貨物船が米艦艇に追跡されて北朝鮮に引き返したケースや、同年12月にバンコクの空港で貨物機から北朝鮮製の武器が大量に見つかった事件がある。 一方、兵器以外の外貨稼ぎの手段としては、偽札や偽たばこ、麻薬の密輸が挙げられ、米財務省は2006年の推計で、2200万ドル(約17億円)の偽100ドル札「スーパーノート」などが北朝鮮政府管理下で製造されたとみている。昨年3月に北朝鮮で日本人男性3人が拘束された事件も偽札の取引だったとみられ、偽札製造が続いていることをうかがわせている。 また昨年8月には、朝鮮労働党の工作機関が、韓国人の男が設立した中国の会社にハッカーを派遣。
国家組織や関連企業のコンピューターやネットワークを狙ったサイバー攻撃は、いまや「犯罪」でなく、国の「安全保障」を脅かす“新たな脅威”となった。 だが、日本政府内では、国を守る自衛権に対するサイバー攻撃をどう位置づけ、関連法をどう運用するのかなど、法制対応を含む検討は遅れている。政府は今後、米国とも連携し、国内対策の整備を急ぐ。 国家の重要機関や施設の機能を破壊したり麻痺(まひ)させたりするサイバー攻撃は、国際的に「サイバーテロ」とも呼ばれ、新たな“戦争”の形態と位置づけられつつある。外務、防衛両省は2011年後半、日本でも自衛権を発動する「武力攻撃事態」と認定できるかどうか、法制面の検討にようやく着手した。 最大の課題は、自衛権の発動をめぐる憲法9条との論点整理だ。政府は現在、武力攻撃事態について、〈1〉着上陸侵攻〈2〉ゲリラ・特殊部隊による攻撃〈3〉弾道ミサイル攻撃〈4〉航空機による攻撃
反撃する能力を持ちながら、今のままではその力を生かす道はない。だが、サイバー攻撃が急激に巧妙化し、破壊力を増す中で、世界は既に、安全保障上の新たな脅威として対策に動き出している。「このままでは世界から取り残される。日本全体で正面から議論してほしい」。省内部からも悲痛な声が漏れる。 「法的な問題を置き去りにしたまま技術開発を進めても意味がない。一刻も早く位置づけを明確にしないと日本だけが後れをとる」。開発計画に関わった同省幹部は焦りをにじませる。 米国は2011年、「サイバー攻撃には軍事を含むあらゆる手段で反撃する」との方針を公表、同じ年にはサイバー空間を「軍事作戦領域」と位置づけるとも表明した。組織作りも着々と進め、国防総省の下にサイバー作戦を統括する部隊「サイバーコマンド」を創設、10年11月から本格運用を開始している。北大西洋条約機構(NATO)も近く、サイバー戦についての新たな考え方
政府がサイバー攻撃に対する自衛権発動の検討に入った背景には、同盟国の米国が中国への懸念を深めていることがある。 中国政府は否定するが、多くの例で中国の関与が指摘される。 こうした攻撃に自衛権を発動した場合、実力行使の手段をどのように取り、どんな手続きを取るのか。「専守防衛」を掲げる日本は、報復の攻撃力を米軍に依存している。政府は、米国との共同対処を念頭に、外務・防衛当局の日米協議を11年9月から始めた。 米国防総省は同年7月に発表した初の「サイバー軍事戦略」で、外国からのサイバー攻撃を「戦争行為」とみなし、軍事報復を辞さない方針を打ち出した。さらに9月、オーストラリアとの間で、サイバー攻撃の際の共同対処方針を決定。 日本にも「豪州同様のアプローチを構築する機会がほしい」(10月、パネッタ米国防長官)としており、今後、日米共同対処の枠組み作りが進む見通しだ。ただ、サイバー攻撃を戦争行為とみな
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