芥川賞の井戸川射子 詩と小説「言葉を自由に」 - 日本経済新聞井戸川射子の小説「この世の喜びよ」が、第168回芥川賞に選ばれた。詩人としても活躍する気鋭の作家は「1個ずつ書くたびに、この言葉を使うとか新しいことを考えてきた。1番の目標は言葉を自由に使うこと」と話す。言葉選びの感性の鋭さが評価された。受賞作はショッピングセンターの喪服売り場で働く女性が主人公。弟の世話から逃れてフードコートに通う少女や、ゲームセンターに入り浸る老人との交流を通じ、幼かった2
二人称で描いた「母」の視点 「この世の喜びよ」で芥川賞 井戸川射子さん | 毎日新聞
「まだ不思議な感じで、でもしみじみうれしいです」。「この世の喜びよ」（群像7月号）で第168回芥川賞を受賞した井戸川射子（いこ）さん（35）は19日、記者会見で今の気持ちを聞かれ、こう述べた。兵庫県在住で、普段は高校の教壇に立つ国語教師。2019年、第1詩集が中原中也賞に選ばれた注目の詩人でもある。今月あった取材会では「言葉をすごく上手に使いたい。そのことだけが今は目標としてある」と言葉への強い思いをにじませていた。 受賞作はショッピングセンターを舞台に、喪服売り場で働く「あなた」の視点で描かれる。娘2人の子育てを終えた母の「あなた」は、フードコートの常連である15歳の少女と知り合う。2人のやりとりを軸に、喪服売り場の同僚やゲームセンターで働く23歳の青年、そのゲームセンターに通うおじいさんと交流するさまが、ひたひたと寄せては返す時間の中で紡がれる。
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