重森三玲の名前を最初に知ったのは、30歳過ぎのことでした。 まだ京都の神社仏閣巡りをはじめた頃のことで、東福寺に参拝に行った折り、方丈の、それまでに見たどの庭とも似ていない、斬新でモダンな庭と出会ったのでした。 調べてみると、重森三玲という、昭和の作庭家が存在し、彼がつくったのだということがわかりました。 重森三玲は、作庭でだけでなく、東京美術学校で日本画を学び、茶の湯に浸り、生け花の革新を唱えて「新興いけばな宣言」にも名を連ねた、稀代の芸術家なのだということを知りました。イサム・ノグチは、彼から多大な影響を受けています。 禅寺の方丈といえば枯山水の庭がほとんどセットになっていますが、東福寺の方丈は四方すべてに庭が配されている、日本で唯一の方丈です。 東庭の北斗七星の庭、西庭の大市松の庭、南庭の蓬萊の庭、北庭の市松の庭。どれもこれもが斬新で、既成のスタイルにまったくとらわれていない自由さに