政府は、児童手当で高所得世帯向けに子ども1人当たり月5000円を給付する特例を来年度から廃止する検討に入った。年収の判定基準を世帯で収入の多い方から「夫婦の合計」に変更して対象を絞り込む案も浮上。待機児童解消の財源不足を補う狙いだが、子育て支援の予算を削って付け替えるようなやり方は、少子化対策の充実を掲げる菅義偉首相の方針に合わないとの指摘も出ている。(川田篤志) 所得制限により児童手当を減額される特例給付を受給したのは2018年度に約100万人で、支給総額の約900億円のうち3分の2は国費。所得制限は夫婦共働きでも収入が多い方を基準にしており、配偶者と子ども2人が扶養に入る4人世帯なら年収960万円が目安となる。 支給の削減を検討する背景は、首相の思い入れが強い待機児童対策の財源不足だ。内閣府は24年度、新たに約14万人分の保育の受け皿が必要になると推計。関係者によると、待機児童の解消に