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ブックマーク / norishiro7.hatenablog.com (14)

  • 乗車券はクソガキ(リメイク) - ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ

    ダイジロウは引っ込み思案、成績も悪い。でも絵が上手いし、サボテンに話しかける優しい心を持っている。当にもうすぐにびびってしまうので、今日の帰りの会で隣の奴岡くんから小さな手紙をまわされた時も、先生に見つかるのが怖くて開くことが出来なかった。帰りの会が終わった途端、奴岡くんはランドセルを振り乱して走り出て行ってしまった。だからダイジロウは、その手紙を読んで困り果てた。 『今日の深夜、ナイナイのオールナイトニッポンが始まる時間、学校の裏山に、来い』 ナイナイのオールナイトニッポンは、前に奴岡くんから面白いよと言って教えてもらったことがあるのだった。芸人の裏話とかあるよ、と奴岡君は言った。でも、夜になるとすぐ眠くなってしまうダイジロウはいつも聞くことが出来なかった。ナイナイのオールナイトニッポンは深夜一時から始まるのだ。 しかし、今日ばかりはダイジロウは起きていた。裏山に行くことにしたのだ。そ

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    sennji
    sennji 2008/12/28
  • なめていると思われますよ - ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ

    先輩が屁をこくと、コウモリが一斉に飛び立って洞窟は大騒ぎ状態になった。先輩は、めんごめんご、とスラップスティックに言いながらなおも先に進んだ。 「先輩、洞窟で屁をこくと、洞窟の神様にバカにしていると思われますよ」僕は言った。 「うるせーよ。お前さっき野グソしてたじゃねーか。うるっせーんだっつの、くっせーんだっつの」 「実はあれ出なかったんですよ。なんかお腹の調子悪くて、オナラしか出なかったんですよ」 「じゃあお前も屁こいてんじゃねーか」 僕たちはここに来る前、何か赤色を体に塗りたくってすっぱい匂いのする原住民族に「あの洞窟には決して近づくな」ということを繰り返し言われた。僕はかなりビビったが、先輩は楽勝平気だった。先輩は僕と同じ三流大学に所属しているにも関わらず、五級の英検だけで通訳を介して村人と堂々渡り合い、「絶対に行くなよ」「ん、ん」と芋虫をって生活している人達でさえムッとするほどの

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    sennji
    sennji 2008/10/24
  • ブログ休止のお知らせを一人称俺で - ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ

    なんか飽きたというか、ブックマークがいくつあろうと人が百人こようと結局自分のことで自分はおもしろいことが書ければそれでよかったのだからもう公開しておく意味もないし公開しない意味もないのだけれど、公開しておけるようにしておくとやっぱり俺は公開しちゃう、責任感とかけっこうあるタイプだからな。ただ、何か不満があるとすれば、生身の人間とかこの世界ってのがおもしれえな、あおいだら風がきて涼しいのかよおもしれえな、とか思ったりしている俺は、言うまでも無くそこで生きているわけだし、最終的にそこに戻ってこなければいけない気がして、やっぱこっちかなあ、とか言って戻っていくような気がして、というか今がその時だ。つまり、俺は、キーボードをぱちぱち打ってクリックしてネット上に文章がアップされるのを見るよりは、キーボードがぱちぱち言ってる方がおもしろい、俺の手の動きの方がおもしろいような気がしている。この文章を世界

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    sennji 2008/10/23
  • 再開と説明と追い込まれた火の玉ボーイの立場について - ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ

    あの火の玉ボーイが帰ってきた。一ヶ月半前、かっこいいと思って更新を停止したそこそこのブログ「ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ」が、この一ヶ月半の間特に何も無いまま、格別おもしろくなったわけでもなく漠然と更新を再開する。 その期間、mixiで三人の方のみに向けて書くというサークル活動のようなことをしてきたアイツ(火の玉ボーイ)は、このたび、まず創作をmixiに書いて、ある程度したらブログに載せるという方式を思い付くことに、ビックコミックを立ち読みしている時に成功した。そうすることで、時間を置いて読み返してから改訂・掲載することが可能になり、作品のクオリティーが飛躍的にアップするのだ。喩えるならば、泥水をこして飲むのである。 しかし、なぜたった一月半でそんなことするのか、あの更新停止はなんだったのかと問われれば、いよいよアイツ(火の玉ボーイ)もそろそろ就職活動し始めなければならない感じにな

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    sennji 2008/10/23
  • ある日のサークル - ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ

    「俺は筆美ちゃんに告白する。だからみんな手伝え」 サークルのサークル長(筆者はサークルのことをよく知らないのでサークルとはいったい何でそんでサークルの中でどういう役割があったりなかったりするのか知りません。大学の学のメニューも全然知りません)の声に応じて集まったのは、全員が全員、スポーツのことはよく知らないのにオリンピックを見まくって「外反母趾が、じゃねぇよ」などと好き放題言う精鋭たちであった。 「でも、筆美ちゃんには彼氏がいるじゃないですか」 勢いよく手を上げたのは、母親の悪口がおもしろい津田だった。こいつは母親を当にぼろくそに言う。この前おもしろかったのは、「カレーにでかいジャガイモいれんなババア」という話であった。「あんなもん、ただジャガイモってるのと同じじゃねぇか。全然、この、ルーがからまねぇよ、でかいジャガイモにはルーがからまねぇんだよ。ホクホク感、じゃねぇよ。そんなもんカ

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    sennji 2008/08/19
  • 僕はディナーショーになんか来なきゃよかった - ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ

    お笑い芸人を目指して東京に来て半年、僕は色々なことを知った。当初の予定では来年にでも吉のNSCに入ろうと思っていたが、今になって僕の心は揺らぎに揺らいでいた。 僕はこの半年間、バイトでためたお金でお笑いライブを見まくるという体に負荷をかけないトレーニングを積んできたが、その過程で、お笑い芸人がお笑いライブをやってどうすると思ったのだった。よく考えたら、全然おもしろくないよ。お笑い芸人がお笑いライブをやるって、何のひねりもない。ひねらなきゃ。マカロニだってなんだって、ひねってる方がおもしろいじゃないか。欲はそそらないけど、おもしろいじゃないか。まずそのスタートから狙いにいくのがほんまのお笑い戦士ちゃうんか、と。トータルで考えれば、その空間はおもしろいかと聞いてるんだ。お笑い芸人がお笑いライブをやってるその空間は果たしておもしろいのか。何年この世界いるんだよ。 というわけで、僕はお笑いライ

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    sennji 2008/08/16
  • 蔵出しヒーロー、ライムライダー - ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ

    今週も、いつもの公園でライムライダーとブレンディデビル団がいざこざいざこざしていた。 「ビチョビチョだよっ」 怪人は、覆面をした男がビニール袋から出した野菜を受け取ると、間髪いれずに言った。その声は、ライムライダーの耳にも届いた。怪人は緑色の球状になった葉っぱ野菜を両手に、なるべく体から離すように持ち、上下に動かした。 「ふっふっふ……ライムライダー、今日こそ、どっちがキャベツかあてることが出来るかな」 ライムライダーは、驚いたように半歩後ずさりすると、子供達の方をチラリと見た。 「ライムライダァー! 助けてェー!」 子供達は、覆面をした男達に押さえられ、刃物を突きつけられていた。しかし、そのぐらいでは刺されないことを知っているので叫んだ。 「ライムライダー、さあ、答えてみろ。どっちがキャベツだ」 ライムライダーは冷たく光る仮面の下で、ボソッと言った。 「右」 怪人は怒ったような顔になった

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    sennji 2008/07/13
    天体戦士サンレッドみたいだ
  • ユニークな死に方と死について - ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ

    ユニークな死に方室は大いににぎわっていた。 「私は、風呂を洗うスポンジで殺されました」 「ふふふ」 「殺傷能力あるんだ、あれ」 「そう思ってかなり油断してたから、そのせいかも知れません」 「ていうか凶器としてそれを選択する状況が凄いよね。絶対他にもっとある」 「私は、地平線から見えてたイノシシに激突されて。ずっと見てたんですけど、そのまま激突されて」 「びっくりした?」 「ええ、まさかと思いました」 「ずっと見てたのにね。そんな僕は、ウェットティッシュで鼻をかもうとしたらなんか窒息死しました。えへへ」 「なんでウェットティッシュで?」 「一応ティッシュかなと思って」 「一応ティッシュだけど、ウェットだよ」 「自殺と思われたかも」 「ははは」 「僕の話も聞いてください。僕は、飼っている犬と戯れてる時に、犬が爆発しました。犬は無事だったみたいですけど」 「犬、無事なんだ」 「爆発した方が無事な

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    sennji 2008/07/04
  • キャンパスライフを謳歌してる場合、平日に友達とキャンプに行けるんだぜ - ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ

    俺達は大学生、仲良し五人組。男3の女2、恋愛感情はかなり微妙なところ。この人数の場合、普通なら安易にフルハウスとか表現するところだけど、俺達も自分達のこと、そう言ってるんだぜ。そして、テレビの『フルハウス』とも、あったかみがあってにぎやかで幸せな関係、みたいな意味でかかってるんだぜ。自慢じゃないけど、俺、キャンパスライフみたいなものは謳歌している方だって断言できる。当に大学生って楽しいんだ。サークルだって当然掛け持ち、テストの情報は先輩から入ってくるし、大教室では固まって座るんだぜ。バイトも頑張って大変だけど、でも、すげえ、すんげえ充実してるって感じ、するんだ。人生は出会い、当にそう思うんだ。 そんな俺達仲良しフルハウス五人組は、梅雨入り前の空いてる平日を利用して、山へキャンプに来たんだ。平日に遊びに行くのは、大学生の醍醐味だぜ。その分の授業はさぼっちゃったけど、それより大事なものがあ

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    sennji 2008/07/04
  • レッスン1は「死ねボケナス」 - ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ

    太ったメガネのおばさんが入ってきて、小さな教室のホワイトボードの前に立った。 「さあ、あんた達、今日もレッスン始めるわよ。根暗なんでしょ。人前で喋れるようになりたいんでしょ。そのためにお金払ってるんだから、精一杯やんなさいよ。口を動かしていきなさいよ。じゃあいつものように、発声練習いくよ。『死ねボケナス』からね」 「あ、あの……」おずおずと手を上げたのは、今日からこの教室に入った喉元さんだった。「私……初めて…なんですけど……」 「初めてだからなによ」太ったおばさんは赤い三角形のメガネをしていたが、それを外して目頭を押さえた。 「説明を……」 「じゃあ最初から、私初めてなんですけど説明を、って言えばいいじゃないの。何で区切るのよ。ベしゃりをリボ払いにしてどうすんの。何考えてんの。一人でエレベーターに乗ってる時とか何考えてんの。なんでちょっと上を見んの。あの、階数の、あれを見てんの?」 喉元

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    sennji 2008/07/02
  • 「家に火ィつけるぞ」と兄は言った - ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ

    「さあ、『解決!お助け家族 〜お前らほんっとどうしようもねえな〜』のお時間がやってまいりました。司会は私、高畑順がつとめさせていただきます。今日も悩める家族が、この家族更生最後の砦の門を叩きました。今日は、これは凄いですね、家庭は完全に崩壊しながら、物理的に建っているマイホームがなんとか家族という関係を外側から支えているような……シュークリームでいうと完全に中が腐りきっています。緑色です。そんなドロドロの、家族間でを隠しあう、緑沼さんのご家族です、四人家族です。どうぞ!」 おどろおどろしい音楽と人間がゲロを吐くSEが流れる中、少し高いところにある、かなりデスメタルな仕上がりの扉が開かれ、赤い煙が吹き上がった。そこから、一人、父親らしき男性が出てきた。その顔、立ち居振る舞いは、一言で言うならば、卑屈な糞ハゲ。観覧の客は全員、こんな親父いやだ、と思った。 父親が司会者のもとに降りてきたところ

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    sennji 2008/07/01
  • お腹筋肉、地獄アマリリス - ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ

    今週もまた、五年二組に音楽の時間がやってきた。 音楽の波動キミ子先生は、ピアノを囲んで丸く置かれた椅子に座ったぼくたちをなめ回すように見た。そして、持ったフルートを片方の手の平に軽く叩きつけて歩き回りながら、 「お前ら今週もノコノコと音楽室までやって来たな、おい」 と言った。 「よろしくお願いします!」 ぼくたちは大きな声で言った。 「ぴーちくぱーちくうるせえよ、とっととリコーダーを持て」 ぼくたちは慌ててリコーダーを取り出した。そして、怒られないうちに両手で構えた。その時だった。 「や、山君! まさか、リコーダーを……」 湯沢の声が聞こえた。ぼくたちはいっせいに山君の方を見た。山君はもはや諦めたか、椅子からずり落ち気味のさっぱりした表情で、 「やっちゃったよ」 と言った。そしてどんどんずり落ちていき、とうとう、首だけで椅子に座っている状態になった。 「山君、諦めるのはまだ早いよ!

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    sennji 2008/05/18
  • ポーター・ポーター・森泉デザイン - ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ

    「なんでトートバッグでくるんだよ!」 メールを頼りに集合場所に来て初めて会うパーティーの格好を見た途端、遊び人が叫んだ。勇者と戦士が、トートバッグを肩からさげていたのである。紅一点の女僧侶は、物がまったく入らなさそうな森泉デザイン、THE GINZAのバッグを肩にかけていた。この瞬間に遊び人は、おふざけでみんなを和ませるひょうきんなボクチンに別れを告げ、ギャグマンガでいえば一番よく喋るポジションへと変貌をとげたのである。 「大冒険って言ってたじゃないか!」遊び人が勇者のトートバッグをつかんで言った。「魔王を倒すんだろ!」 「ちょ……止めてよ。僕の……に、触らないで……」勇者が口ごもって体をひねった。 「バッグぐらい自分の気に入ってるのを持ってきてもいいだろ」これもトートバッグをさげた戦士が遊び人の肩をつかんだ。「そういう楽しみがなくなったらおしまいだろ」 「それに、勇者のトートはいいやつな

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    sennji 2008/05/18
  • 超ボランティア - ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ

    ここは日焼けとサーフィンと桑田佳祐の町、湘南。そして海岸。マサヒコはすばらしい気分で海岸のゴミをつぎつぎと袋に入れていった。そんなマサヒコの背中からは、ボランティア参加者特有のある種のアドレナリンが、汗と一緒に分泌されているように見えた。 マサヒコが袋をいっぱいにしていったん部に持って行った時、マサヒコの胸もまた誇らしい気持ちでいっぱいだった。その時、マサヒコの心はゴミ袋とシンクロしていた。 「がんばってるね」ゴミ袋を受け取った人がマサヒコに声をかけた。 「ええ、いいことをするのは気持ちがいいですね」 マサヒコが青空の太陽にも負けない百点満点の笑顔で言うと、部の人たちは嘲笑するように笑った。 「失礼じゃないですか」マサヒコはムッとして言った。 「失礼なのは君のほうだよ」 マサヒコが部に来てから、ずっとただならぬオーラを放っていた老人がおもむろに立ち上がった。 「あなたは……」とマサヒ

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    sennji 2007/08/28
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