音楽愛好家たちの「スポティファイ」離れが止まらない。 パン屋で働いていたメグ・レセムは、朝のサウンドトラックを選ぼうとスポティファイを開いた。プレイリストを延々とスクロールしたが、そのときの気分にぴったりくるものが見つからなかった。それで彼女は、自分がいかに生活のなかで音楽を「使って」いるかということに気がついたと、英紙「ガーディアン」に話す。 「音楽そのものを体験しているのではなく、音楽がツールになっていることが自分には向いていないと思ったんです」
アメリカでは独身で子供のいない女性が増えており、しかも独身・子供なしの男性より裕福になっているという。そうした女性たちに米経済誌「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」が取材し、本音を聞いた。 アシュリー・マレロは独身で、子供がいない。そして同じ境遇の女性たちに伝えたいことがあるという。まだすべてを手に入れることはできるのだと──。 43歳のマレロは医療機器メーカーで営業担当をしている。患者たちとの接触もあるこの仕事に、深い満足感を覚えている。 そして、独身・子供なしで給料のいい職にある女性だからこそ得られるライフスタイルと経済的な自由を、余すところなく楽しんでいる。 ニューヨークシティのアパートに住み、ニュージャージー州の海辺の街に別荘を持ち、仕事や遊びでしょっちゅう旅行に出かけたりもする。 「いまの生活がとても好きだし、すごく満たされています」と言うマレロは2018年に卵子を凍結し、選択肢
不登校を減らせ! あるNPOの挑戦 靴は貧しさを露呈するから… 子供たちにスニーカーを配ったら“驚きの変化”が起きた
最新研究で「階級を越えた友情」の恩恵が示される 貧しい家の子でも、金持ちの子と友達になれば、将来は稼げる大人になれる 高校時代に裕福な家庭の子と友人になったことが助けになったと語るマリ・ボウイ Photo by Marissa Leshnov/The New York Times 貧しい家庭に生まれた子供は大人になってからも経済的に苦しむ可能性が高い──。いわゆる貧困の連鎖であり、そこから抜け出すのは簡単ではないと言われてきた。 だが8月1日に科学誌「ネイチャー」に掲載された最新の研究で、その貧困のループから脱却するカギが示された。貧しい家に生まれても、裕福な家の子と友達になることだ。 研究対象となったのは25~44歳のアメリカ人の84%にあたる7200万人で、この手の研究では最大規模。彼らのフェイスブック上の交友関係を分析したところ、貧しい家に生まれた子供でも、貧困層と富裕層のつながり
ユダヤ人が世界を牛耳っているという陰謀論は日本でも耳にしたことがあるかもしれない。この類いの陰謀論と正面から向き合うユダヤ人がいる。姓はロスチャイルド。米ユダヤ系メディアが、その名前の皮肉も含めて聞く。 This article is translated from the English original, which appeared in the American Jewish news outlet the Forward. Click here to get the Forward’s free email newsletters delivered to your inbox. 陰謀論者にしてみれば、あのロスチャイルド家がイーロン・マスクをひそかに傷つけようと企んでいることを裏づける出来事が最近あったようだ。 その始まりはマスクが米民主党をバッシングして、共和党に乗り換えると言
安倍晋三の伝記を書いた政治評論家のトバイアス・ハリスが米紙「ニューヨーク・タイムズ」に寄稿し、安倍の「国家ビジョン」について触れている。安倍は21世紀の「荒波に耐える」ために、必要な政策を実行しうる国家を日本に残した。しかし、彼が望んだ「強い国家」というビジョンを、ようやく国民が理解しはじめた矢先に急逝してしまったのだ──。 “安倍晋三”を物語る一文 戦後最年少の52歳で総理大臣に就任した安倍晋三はその数ヵ月後の2007年1月、第166回国会開会式のあと、施政方針演説を行った。 演説の大部分は、ありふれた提案の羅列だった。だがそのなかの1文が、彼という人間をとりわけ物語っていた。彼はこう述べた。「次の50年、100年の時代の荒波に耐えうる新たな国家像を描いていくことこそが私の使命であります」 私はこの1文を、安倍元首相について執筆する間、そして金曜日の彼の暗殺について考える間、何度も思い返
「オンリーファンズのクリエイターの代理店」って? パンデミックを機に巨大プラットフォームに成長した、大人向けの定期購読型のソーシャルメディア・プラットフォーム「オンリーファンズ(OnlyFans、以下、OF)」。 2020年の春以降、世界中の人々が自宅で長時間を過ごすようになるなか、コンテンツを投稿する「クリエイター」と、コンテンツを閲覧する「ファン」のどちらの数も急速に伸びた。これによりOFは「クリエイターの新しい収入源」として注目を集めている。 OF上では、ミュージシャンやパーソナルトレーナー、シェフ、教育者など、さまざまな業界の人が付加価値を含むコンテンツを提供しているが、特に多いのが性的サービスに従事しているクリエイターたちだ。彼らの収入は、月に数万円から億単位まで幅がある。
アメリカという「現代のバベル」 崩壊後のバベルに生きるというのはどんなものだろう? 創世記には、ノアの子孫たちがシナルの地に巨大な都市を建設したと記されている。彼らは自身らの「名を高めるため」に、「頂上は天まで届く」塔を建てた。神は人間の傲慢に腹を立てて言った。 「見よ。彼らは一つの民であり、一つの言葉だけをもつ。そしてこれは、これから彼らが為すことの始まりに過ぎないのだ。今や、彼らが為そうとすることで不可能なものはなくなった。さあ、下界に降り、彼らの言葉を乱そう。彼らが互いの言うことを理解できなくなるように」 聖書の本文に記述はないが、この物語の有名な解釈の多くでは、神が塔を破壊したことになっている。そこで、この劇的な場面を心に描いてみよう。人々は互いにコミュニケーションを取ることができず、互いの無理解を呪い、廃墟の中を彷徨うのだ。 このバベルの物語は、2010年代のアメリカで起きたこと
もしサイコパスやナルシストに、「共感力」が備わっていたら──イギリスの心理学者らによって最近発見された「ダークエンパス」なる人々は、どのように人を傷つけうるのだろうか。 最も危険な人格? サイコパスやナルシシズムなどの「闇の性格特性」を持つ人たちは、本質的に、冷酷かつ不愉快で、こちらに敵意を見せてくる可能性が高いと言われている。 こうした特性はスペクトラムのなかに存在する。すなわち、誰もが多少はこうした特性を持っており、必ずしもパーソナリティー障害と診断されるというわけではない。 従来、「闇の性格特性を多く持つ人は共感能力に欠け、それゆえ、そうでない人たちよりも危険で攻撃的になりうる」というのが定説とされてきた。 しかし最近、私たちはこの考えに疑念を生じさせる存在を発見した。学術誌「人格と個性」に掲載された私たちの研究では、闇の特性を持つ人のなかに、平均以上の共感能力を持つグループがいるこ
フランスで、学校でのいじめを「犯罪」とする新法が3月2日より施行される。被害者の自殺・自殺未遂があった場合、加害者には最大で10年の拘禁刑が科される可能性がある。フランスの法学博士・弁護士が、新法制定の成果と今後の課題を仏紙「フィガロ」で解説した。 ネットいじめの深刻さを認めない当局 学校でのいじめはいまに始まった問題ではなく、被害者の数も何百万人といる。数字を見ると頭がクラクラするほどだ。 フランスでは毎年、約10人に1人の子供が学校でいじめの被害に遭っているというのだ。学校に通う児童・生徒の数が1200万人だとすれば、いじめの被害者は100万人を超す計算になる。もちろんこれはフランスに限られた話ではない。ユネスコによれば、学校でいじめられた経験がある児童・生徒は世界全体で30%を超えるという。 フランスの行政法の判例を見ると、公立学校でいじめられた子供が自殺した場合、教職員がいじめの事
日本でごみ出しを遂行するのは、至難の業だ。細かくごみを分別したあと、また細かく指定された日時に合わせて、そのごみ袋を集積所へ持って行かなくてはいけない。だが、それで安心するのはまだ早い。そこでは近隣住民が目を光らせて、あなたのごみを最終チェックしているからだ。 ただごみを捨てるだけなのに、うんざりするようなプロセスを踏まなければならないが、そのおかげで日本はリサイクル分野で世界を牽引する立場になれたのだという。 近所のごみ集積場に向かいながら、私は今から地雷原に足を踏み入れるんだぞ、と自らを奮い立たせる。今回は、正しくごみを出せるという自信がかなりあった。台所で出た生ごみは水を切っていたし、段ボール箱はすべて平らにして紐で縛っていた。それに、缶詰はラベルを剥がして、別の箱に入れていた。 私は横浜の郊外の路地裏で、ほかの住人たちが金網で囲われたごみ置き場に置いていったごみをこっそりと覗いてみ
仮想現実でも止まらない性犯罪 「私はメタバースにログインしてからたった60秒で、集団レイプ被害に遭った」 ログインして60秒でレイプ被害に メタバースにアクセスできるアプリ「Horizon」をメタ社が公開してからわずか2ヵ月後、メタバースの研究をしている心理療法士のニナ・ジェーン・パテル(43)というユーザーから、集団レイプを受けたとの報告があった。 パテルは自分の経験をオンラインプラットフォーム「Medium」に公開している。英紙「インディペンデント」などが報じるところによれば、経緯は次の通りだ。 「ログインして60秒後に、暴言と性的な嫌がらせを受けました。3~4人の男性アバターが私を取り囲み、自撮りしながら私のアバターをまさぐり始めたのです。離れようとしましたが、彼らは笑ったり叫んだりしながら後を追いかけてきました。彼らは執拗で、『本当は気持ちいいんだろ』『この写真でオナニーでもしろ』
メタバースと聞くと、メタ社をはじめとした海外のプラットフォーマーが勢力を拡大する潮流に見える。しかし、日本のアニメやゲームなどのコンテンツこそ、メタバースに必要だろう。『メタバースとは何か ネット上の「もう一つの世界」』の著者・岡嶋裕史氏が、その可能性を解説する。 メタバースは、「現実とは少し異なる理で作られ、自分にとって都合がいい快適な世界」だと考えている。私たちはこれまでにもこうした世界を楽しんできた。小説、演劇、ゲーム、SNSなどがそうだ。 ただ、これらはひとときその世界を消費して楽しみ、そののち現実へ帰るものであった。だから現実が優位であったし、小説やゲームの市場はそれなりに大きいがマクロで見ればさほど儲かるものでもない。 これらの延長線上にあるメタバースが、なぜ注目を集めているかと言えば儲かりそうだからである。ゲームもSNSも大衆の需要を満たしたが、彼らの時間と資金の一部しか切り
仏紙「ル・モンド」は、複数の都市が壊滅し、多くの民間人が犠牲となっているウクライナの状況を、かつての東京と重ね合わせて見ている日本人がいると報じた。 東京大空襲でも多くの民間人が犠牲に 「戦争反対! 民間人への爆撃反対!」 3月初旬、そんなプラカードを持った年配の女性が一人で東京中心部の地下鉄駅の出入口に立っていた。女性の名はミウラ・フミコ。彼女がまだ6歳だった1945年3月9日深夜から翌10日未明、家族とともに暮らしていた東京の北東部が米軍のB-29の焼夷弾爆撃を受けた。ミウラ自身はそのときの焦熱地獄を逃れられたが、そのとき目にした惨状はいまも忘れていない。 ミウラはロシア軍の爆弾にさらされるウクライナの光景に心を痛め、この人通りの多い場所に来て、手書きのプラカードを持つことにしたという。
今回のウクライナ戦争では、マッチングアプリ「Tinder」が本来の目的を超えて大活躍している。英メディア「アンハード」の記者が、主要SNSが禁止されたロシアの人々や、戦火のウクライナにいる人々とTinderで繋がってみると……。 SNSがダメならTinderで 自分の街のパートナー候補に満足できない人にとって、Tinder(ティンダー)の機能はおあつらえ向きだ。月18ポンド(約2900円)払えば、自分がそこにいなくても、世界中のあらゆる街に住む人々と繋がることができる。 すでに報道されてきたように、今回の紛争ではソーシャルメディアが大きな役割を果たしている。ウクライナの人々はスマホを使い、ロシア軍による恐ろしい体験を世に広めてきた。 しかしロシアでは、Facebook、Twitter、TikTok、Instagramのすべてが禁止され、ほとんどの市民にはフェイクニュースとプロパガンダだけが
核兵器を使う可能性はあるのか。米「CNN」によるこの質問に対して、22日、ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官は「我が国の存亡に関わる脅威があれば、あり得る」と答えた。 この時使われる可能性として高い兵器のひとつが、小規模な分ハードルが低く「使いやすい」とされる小型の核兵器だ。広島に落とされた原爆を基準に、威力がその半分のものから、2%ほどのものまで、世界にはさまざまな小型核がある。 もしロシアがこれを撃った場合、世界はどう反応するのだろうか。核戦争に発展するのだろうか? 米紙「ニューヨーク・タイムズ」が専門家に聞いた。 ロシアは核武装を実用的なものと考えている 冷戦時の核兵器はその破壊力において、広島を破壊した原爆を凌駕していた。実験爆発では、ワシントンの兵器が最大で広島の1000倍、モスクワの兵器には3000倍の威力があった。 これには「巨大な報復の可能性」という脅威を見せることに
欧州に戦争が戻ってきた。それも壮烈無慙な戦争である。人口4500万人の国に、人口が3倍、軍備が8倍の隣国が攻め入ったのだ。 遠目には、いまの状況が1870年から1945年の間に3度繰り返されたフランスとドイツの国境紛争と比較できるのではないかと考える人もいるに違いない。クリミアとドンバスは自国のものだと言うロシアが、アルザスとモゼルを自国のものだと言っていたドイツと重なるところがあるからだ。 だが、両者には根本的な違いがある。今回の戦争のほうが、人口でも、軍備でも、はるかに不均衡が目立つのだ(1870年、1914年、1940年の時点での人口はドイツがフランスより60%多かった)。加えてウクライナの当局は、係争地の住民の権利を尊重し、係争地の主権の帰属について協議する用意があることを示してきた。 原理原則を言うならば、このようなデリケートな問題は、できるだけ民主的で、落ち着いたプロセスで進め
プーチンに大きな影響を及ぼす「ある人物」 「プーチンの思想的メンター」「プーチンのラスプーチン」と呼ばれる男がいる。プーチン大統領に大きな影響を与えてきたとされる、モスクワ大学元教授のロシア人哲学者アレクサンドル・ドゥーギン(60)だ。 「おおがらで、あごひげを蓄え、長髪で、ダンサーのように歩く。15ヵ国語を操り、ありとあらゆる本を読み尽くし、酒をストレートであおり、快活に笑い、知識の宝庫で、好人物」 スペイン紙「エル・エスパニョール」で、フランスの作家エマニュエル・カレールは、そんなふうに彼を描写する。 ドゥーギンは30代の頃、彼のことを「20世紀後半、最も偉大なロシアの哲学者」と呼ぶ学生や聖職者、ボヘミアンからなる熱心な支持者を集めていた。そんな彼らを前にドゥーギンは、神風特攻隊や三島由紀夫の話などを美談として語り、やがてロシア軍参謀本部の将校やロシア国防省の戦略家、そしてウラジミール
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