星野さんの演奏する姿を初めて見たときに、とても独特だと感じました。なぜかというと、それまで僕が見てきた高音楽器の奏者は、演奏中に「気」が昇っていくためか、かかとを上げたり背中を伸ばしたりして、身体が天に向かっていくような印象でした。でも星野さんはそうではなく、まるで剣道のすり足のように、床に水平に移動するような弾き方をされていたからです。それは意識的なものなのですか? はい。実はずっと武道をやっていまして、演奏するときの身体の使い方にも取り入れています。 私は2歳からヴァイオリンを弾いていますが、小さい頃から「音が浮く」ってよく言われていました。音が浮かないようにするにはどうしたらいいんだろう、ってずっと考えていましたが、分かりませんでした。浮かないようにと力で押さえつけると、ギチギチしてしまって音が飛ばなくなってしまうし、解決策が見つからなかったんです。 武道との出会いは中学生の頃です。
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