「確定申告は、自分が1年間、どれだけ頑張って働いたかを振り返るための大切な機会なんだ」 梅が咲く頃になると、父はよくそう言っていた。 僕の父は税理士だった。 父は2016年、69歳で他界した。 確定申告の季節になると、僕は父を思い出す。 父は国税局へ勤務し、和歌山の税務署長を務めた人だった。 定年後、税理士として起業し、大阪市内に小さな税理士事務所を構え、起業したばかりの僕の確定申告を手伝ってくれていた。 父と一緒に、帳簿を眺めながら申告書用紙に記入したのは、大切な思い出だ。 僕は父を尊敬していた。 父は「自分に厳しく、人に優しく」を地で行く人で、義理人情の人だったから。 父は菟田野町(うたのちょう)という奈良の宇陀郡にあった小さな町から税務大学へ入り、国税局へ勤務したあと、和歌山にある粉河(こかわ)税務署の署長となった。 定年後、税理士として個人事務所を立ち上げ、69歳で他界するまで税と
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