<エリート官僚コースを捨て、誠実な政治家を志した一人の男に密着する記憶と記録のドキュメンタリー> 『なぜ君は総理大臣になれないのか』。相当に挑発的なタイトルだ。でもその挑発は誰に向けられているのか。被写体である小川淳也衆議院議員(立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム)なのだろうか。 小川は決して著名な議員ではない。でも昨年の国会で、「統計偽装や不正の疑惑について政権を鋭く追及し、SNSなどでは『統計王子』と称されて注目を集めた」と説明すれば、ああ、あの議員か、と思い出す人はいるはずだ。ちょうどこの時期、『ⅰ-新聞記者ドキュメント-』を撮影していた僕は、被写体である望月衣塑子記者と小川が議員会館の彼の部屋で話す状況を撮影した。熱い男だなあと思ったことを覚えている(最終的には編集で落としたが)。 大島新監督は、小川とは17年来の付き合いであることを作品の中で明かしている。つまり被写体との距離
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