【マドリード=三井美奈】ユーロ危機で痛手を受けたスペインは、2020年夏季五輪・パラリンピックの招致を「経済再生の契機」と位置づけていた。 東京に敗れたことは「大きな失望」(エル・ムンド紙)で、経済効果への期待は空振りになった。 マドリードの五輪招致は3大会連続の挑戦だった。市東部のメーンスタジアムはほぼ完成し、地下鉄の「五輪競技場」駅も開通している。市は五輪の経済効果を約100億ユーロ(約1兆3000億円)と試算し、約9万人の新たな雇用創出を見込んでいた。国民の約4人に1人が失業する中、経済効果への期待から国内の五輪支持率は91%にのぼった。 スペインでは今年、ラホイ首相や与党・国民党の不正献金疑惑が発覚。銀行や王室のスキャンダルも相次いでおり、地元通信社の記者ジュリアナ・レイオさんは、「政府や経済への信頼が失墜する中、五輪招致は唯一、国民が団結できる希望だった」と指摘する。