生活に必要なおカネをすべての人に無条件で配るベーシックインカム。 「ベーシック・インカム入門」などの著書がある同志社大学経済学部教授の山森亮さんは、たとえば月1万円、年間12万円からでもはじめれば、社会が変わると言います。【聞き手・須藤孝】 ◇ ◇ ◇ 女性解放運動から ――ベーシックインカムは社会的な不公正に対抗するものだと指摘されています。 山森氏 ベーシックインカムのような考え方は18世紀末ごろまでさかのぼれます。現在の英国にあたる地域で、大地主や産業資本家が共有地を囲い込んで私有化します。対抗するために、対価をすべての人に同じ額払えという主張が出てきました。 現在のベーシックインカム論の直接の源流の一つは、1960~70年代の英国での労働者階級の女性解放運動にあります。家事や育児、介護など女性の労働に対価が支払われないことや、性別役割分業そのものを問い直す中で、ベーシックインカムが