→紀伊國屋書店で購入 「客観的な目でみた中国の科学技術開発と、日本との関係」 日本はいずれ中国に追い越されそうだ、という焦燥感が、今の日本には蔓延している。その懸念にはある程度妥当な側面もあれば、単に隣の芝生を青く見ているだけの側面もあるだろう。 本書は、科学技術担当の一等書記官として三年間、北京の日本大使館に勤務した著者が、発展めざましい中国の科学技術について、何が優れており、またどこに問題があるのかを、客観的な筆致で網羅的に分析した本である。 近年の新書の傾向と異なり、はっきりした専門のある著者が、一般にはほとんど知られていない科学技術、および中国におけるその発展の進行について、いわばマニアックに記述していく本である。しかし読み進めるうちに、日々新聞やニュースで目にする情報の裏側が透けて見えるようになるという知的興奮が味わえる。 たとえば本書出版後のつい先日、10月29日の新聞各紙では