→紀伊國屋書店で購入 「単なる暴露本とは少しちがいます」 朝日新聞のスクープと連動した暴露本だと思う人もいるかもしれないが、暴露や告発の部分の比重はそれほど大きくない。むしろ清武氏が巨人に在籍した7年あまりに何があったかを、意外と前向きに語った本である。有名な読売新聞社会部にいた元敏腕記者によるものだけあって文章には無駄がなく、盛り上げ方もうまいし(重要場面では山崎豊子ドラマ風の音楽が聞こえてきそうだ)、逸話の挿入や洒落も利いている。細部の描写もいい(とくに密談の舞台など)。何よりおもしろいのは、著者本人の意図を越えた何かをこの本が語りかけてくるということである。 世の中には「いかにも物語に出てきそうだ」と思わせる人がいる。その一方で、「自分では物語には出てこないが、いかにも物語を語ってしまいそうだ」という人もいる。渡邉恒雄はもちろん前者。清武氏は後者かなぁ、と思う。そんな語り部としての役