国民が拠出する国民年金や厚生年金の積立金を運用する独立行政法人「GPIF」が二〇一五年度、約五兆一千億円の損失を出す見通しとなったことが、専門家の試算で明らかになった。GPIFは安倍政権の方針に基づき一四年秋以降、運用資産のうち国債の比率を下げる一方、株式投資の比率を倍増させたが、中国経済の減速などに伴う世界的な株安もあり、裏目に出ている。変動の大きい株式を主軸に年金を運用する政策の是非が問われそうだ。 損失はリーマン・ショック直後の〇八年度以来の大規模水準になる見込み。GPIFは運用成績を例年七月前半に公表するが、今年は七月二十九日に発表する。 試算はGPIFの運用に詳しい野村証券の西川昌宏チーフ財政アナリストが実施。損失内訳は、外国株式が三兆六千億円と最大で、国内株は三兆五千億円、外国債券も五千億円の損失だった。一方で国債など国内債券は二兆六千億円の利益を計上した。