伊藤達夫さんというアルパインクライマーを知っているだろうか?(僕もそんなに詳しく知っているわけではないが....) 厳冬期の黒部に数々のルートを切り拓いた先鋭的なクライマーで、京都府立大学の助教授だった方だ。 2009年4月26日に北アルプスの鳴沢岳で一緒に登った学生の方二人と共に遭難死した。 僕が最初に伊藤さんを知ったのは「山と渓谷 2001年1月号」のインタビュー記事である。 その内容に衝撃を受けた。 天候は荒れれば荒れるほど良い、その方が素晴らしい登攀になるというその考え方にも驚かされたが、とにかく実践している登攀の凄まじさに強烈な印象を受けた。 その伊藤さんが遭難死したという報道は更に衝撃的だった。 僕とテヌグイ、サンダルはこの遭難事故の1週間前に同じ後立山連峰(五竜岳を目指したが敗退)に登りに行っていたこともあり、本当に驚かされた。 その報道を見て、僕は想像した。 自分が引き連れ