菅野完(著述家) 先の参院選では、与党が勝利を収めた。その結果、自民党・公明党・おおさか維新などを含むいわゆる「改憲勢力」は衆参両院合わせて三分の二を占めたことになる。いよいよ「憲法改正」の現実味が増して来た。 護憲派の一部は、「安倍政権は改憲の意図を隠して参院選に臨んだ」と、与党側の選挙戦略を批判する。しかし実際には、自公連立与党及び官邸サイドは、あからさまと言っていいほど明確に「改憲の意思」を選挙期間中に表明しつづけてきた。 確かに安倍首相を含む与党幹部が、選挙応援演説で「憲法改正」に言及することはほとんどなかった。だが安倍首相は、選挙期間中に開かれた全ての党首討論会で「改憲は自民党の党是」「隠しているどころか、自民党は憲法草案まで示している」と、再三にわたり野党党首たちに言明している。こうした言動を踏まえると、護憲派からの「改憲隠し」批判は的外れと言わざるを得ない。紛れもなく「改憲」