大手出版社や印刷会社が出資し、電子書籍の普及促進を目指す新会社「出版デジタル機構」が4月に設立された。目標は5年で100万タイトルのコンテンツ制作と2000億円規模の市場の創出。関係者の期待は大きい。同機構は不況にあえぐ出版界の救世主になり得るのか。日本の電子書籍を取り巻く現状を探った。【高橋咲子】 ◇目指せ100万タイトル 「これまで電子書籍はタイトル数が不足し、ジャンルの偏りもあった。(大型書店並みの)100万タイトルの電子化が実現すれば、品切れや絶版のない世界ができる」。同機構取締役会長の植村八潮・専修大教授(出版学)は、3月29日に開かれた記者会見でそう抱負を述べた。 同機構には講談社、集英社、小学館、大日本印刷、凸版印刷などが出資しているが、最大の株主は国が9割以上出資するファンド「産業革新機構」だ。最大170億円の資本金のうち150億円を出す予定だ。 出版デジタル機構が担うのは