10代の終わりから20代前半にかけての5年間、東京に住んでいた。5年のうち4年半くらいが池袋。パルコがDCブランド展開で賑い、西武美術館が刺激的な展覧会を連発し、改装前の文芸坐があって、サンシャイン60が出来た頃。その昔、青江三奈の『池袋の夜』で歌われたイメージが払拭されようとしている時期だった。 名古屋に帰ってきてからもう30年余りになる。最初のうちは知人友人のも含めて展覧会を観に(たまに自分がやりに)、毎月のように上京していたが今では年に数回行くくらいになった。池袋にはほとんど用事がなく、自分の住んでいたあたりになると32年間まったく足を向けていない。 ある時ふと、昔住んでいた街に行ってみたくなった。グーグルマップは見ないで、実際に歩きながら変貌を確かめたいと思った。 池袋東口を出て明治通り沿いに歩いていき、商店街の道を折れる。平屋の個人商店や民家が並び、ところどころ緑があったこの通り