21世紀の産業の競争は、サプライチェーンをめぐって行われている。オセロゲームのように、形勢は一気に逆転し、それまでの「シェア」は相手のものとなる。デジタルに移行しつつあるコンテンツビジネスで、出版社が独立した存在として生き残るには、やはりサプライチェーン全体を通したマーケティングの能力を持たなければならないだろう。そもそも、E-Bookは簡単には売れない。皮肉なことに、市場が大きくなるほど売れないだろう。出版社が何もしなければ…。そこでまず大きな問題といきなり格闘する前に、E-Bookマーケティングについて考える道筋を確認しておこう。 本の売り方を考えるのは出版社の仕事 E-Book市場の急拡大にともなって、米国出版界ではデジタルに最適化したマーケティング手法についての議論が活発に行われている。これまでの市場の拡大は、ほとんどアマゾンという、消費者/読者を知悉する特異な企業によって主導され