著作権保護期間は、著作者の死後50年のままでいいか、70年に延ばすべきか――こういった議論が起きている背景には、欧米からの“外圧”があるとされる。すでに70年に延長した欧米が、日本にも延長するよう要求しているとし、「日本も欧米レベルの70年に延長しないと恥ずかしい」と主張する権利者もいる。 「保護期間が短い方が豊かな2次創作が生まれ、文化の発展につながる」との考えから、欧米追随ではなく日本独自の著作権のあり方を打ち出し、諸外国にも広げていくべきだという意見もある。著作権の“日本モデル”は実現できるだろうか――「著作権保護期間延長問題を考えるフォーラム」が8月23日に開いたシンポジウムでは、日本発スタンダードの可能性などについて議論が交わされた。 参加したのは、東京大学大学院法学政治学研究科教授で、政府知的財産戦略本部構成員の中山信弘氏、コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)専務理事
自身の著作物を無償でネットに公開し、無数の利用者と共有する。 共有が創作の連鎖を起こし、新たな作品を生み出していく。 ネットの世界でじわりと広がる、創作活動の新潮流――。 5月7日昼過ぎ、東京・五反田にある映像編集スタジオ。ひんやりと冷房の利いた薄暗い編集室から、トレードマークのカウボーイハットを目深にかぶった男が現れた。 中野裕之氏、49歳。映画やコマーシャル、歌手の今井美樹や布袋寅泰、DREAMS COME TRUEなどの音楽ビデオまで幅広い作品を手がける映像作家である。日本や世界各地で自然風景や野生動物を撮り続け、環境保全や平和をテーマにした作品を発表するクリエーターとしても知られている。 そんな中野氏が今、仕事の合間を縫って取り組んでいる一大プロジェクトがある。過去に撮りためた膨大な映像作品を、インターネットに無償で公開する準備を進めているのだ。 2000万円以上かけて撮影したイル
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