Photo: Izawa Hiroyuki アメリカ大統領選挙で共和党候補トランプ氏の敗色が濃くなっている。選挙の情勢が厳しくなるほど、氏の主張は急進化した。遊説先では、グローバル経済とマスメディアと民主党が一体となって選挙に工作を加え、トランプ氏を負かそうとしている、これは不正な選挙だなどと述べている。 ほとんど被害妄想のような議論だが、トランプ氏を支持するアメリカの有権者が4割前後に上ることは無視できない。大統領選挙の結果はわからないとしても、トランプ氏を支持した人々は消えるわけではない。 トランプ氏は、世界各国の企業からアメリカの国内市場を防衛する必要を繰り返し訴え、いま各国でその承認が審議されている環太平洋経済連携協定(TPP)ばかりでなく、既に締結されて久しい北米自由貿易協定(NAFTA)にも反対している。このような保護貿易の主張は、アメリカ政治では伝統的に自由貿易を支持してきた