「容姿にも体力にも自身がない奴がモテるための最後の手段を教えます。本を読むことです。騙されたと思ってやってごらんなさい」 高校生の頃、英語担当のおじいちゃん先生がこう言いました。単純な僕は、勧められたディケンズの『クリスマス・カロル』を皮切りに本を読むようになりました。その後、少しはモテるようになった...気がします。 おそらく今、日本で『モテる男、裏ランキング』を採ったらかなり上位に食い込むであろう男、ピース又吉がナビゲートするブックガイド。 ネタバレせずに本を読みたくさせるその文才に驚きます。 面白可笑しく、時に切なく。特に、古井由吉の『杳子』の紹介では不覚にも涙をこぼしてしまいました。もしこれが実話ならば名エッセイスト、虚構であったとしても短編小説の名手です。 映画や音楽に比べて、ともすれば偉そうになりがちな文芸の世界。それを偉ぶらず謙虚な姿勢で、まさに『第2図書係補佐』というスタン