メキシコ、ユカタン州の水中洞窟の奥深くで、古代人が積み上げた石を観察するダイバー。1万1000年前のオーカー採掘場とみられるが、後年、海面上昇によって洞窟が水に沈んだことで、そのまま保存されることになった。(PHOTOGRAPH COURTESY CINDAQ.ORG) 「それは、反対側に広がる世界への入り口でした」と、キンタナロー帯水層系研究所(CINDAQ)所長、サム・ミーチャム氏は言う。 2017年春、ミーチャム氏ともう一人のダイバーはメキシコ、ユカタン半島で、ある水中洞窟を調査していた。洞窟に入った二人は、床や天井から突き出すとがった岩をよけながら、すでに800メートルほど泳いでいたが、ここでついに幅がわずか70センチほどしかない隙間に突き当たったのだった。 狭い隙間の向こうにある空間で彼らが目にしたのは、細かい部分まで当時のままに保存された古代の景色だった。そこは1万1000年前