平時であれば、エンジニアのマナルさんと弁護士の夫、イブラヒムさんのようなカップルは、イスタンブールからブダペストへ2時間で飛ぶ航空券を200ユーロ足らずで買うことができる。ところが、専門職の若いシリア人夫婦は、1カ月かかる徒歩と船の旅のために密航業者に3000ユーロ払うことを余儀なくされた。 城や美術館を見に行く途中でブダペスト東駅の外にひしめく観光客とは異なり、マナルさんの家族は、40度の暑さの中、駅の階段の下に敷かれたぼろぼろの毛布の上に茫然と横たわるおよそ2000人の移住者に混ざって座っていた。 マナルさんとイブラヒムさんが小さな子供2人を連れてこの危険な旅に出ることにしたのは、戦争のせいでも電力、水の不足のせいでもなければ、仕事を失ったからでさえなかった。子供たちは今、夜中に森を歩いたせいで、擦り傷だらけになっている。 シリア難民を象徴する若い家族の物語 「あのいわゆるイスラム国の