兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故では、死者107人のうち約70人が、マンション側壁に衝突し「く」の字形にひしゃげた「2両目」に集中した。毎日新聞は、2両目で事故に遭って奇跡的に生き残った乗客に事故当時の詳しい状況を聴いた。助かったのは、大半が脱線後の車両の傾きと反対側の右側にいた人で、つり革を持っていたり、折り重なった人の上方に位置するなど、衝撃のショックや窒息状態を緩和する要因が重なったケースだったことが浮き彫りになった。2両目は定員163人。58人が座れる座席は埋まり、ほぼ同数の立ち客がいたという。 ■事故直前 乗客が“異変”を感じたのは伊丹駅でのオーバランから。発車後、さらに不安が増す。右側に座っていた西宮市の会社員、西田貴善さん(26)は「ウイーンというものすごいモーター音がして、ジェットコースターのように加速した」。右側にいた宝塚市の大学生、加藤英樹さん(20)は「荷物を足元に