1. 腐敗と発酵 食品を放置しておくと、タンパク質や炭水化物などの成分が微生物の作用で分解され、次第に外観やにおい、味などが変化し、最後には食べられなくなってしまう。このような現象を腐敗と呼んでいる。魚や肉で、タンパク質やアミノ酸などが分解され、硫化水素やアンモニアのような腐敗臭を生成する場合が代表的な腐敗の例である。 一方、発酵も食品成分が微生物の働きによって次第に分解していく現象である。こちらは、ヨーグルトや酒のように、糖類が分解されて乳酸やアルコールなどが生成されるような場合が分かりやすい。 しかし、タンパク質やアミノ酸が分解される場合が腐敗で、糖類が分解される場合が発酵かというと、そうではない。腐敗はタンパク質を多く含む食品で顕著であるが、それだけでなく、米飯や野菜、果実類などでもふつうにみられる。また原料が同じでも、蒸した大豆に枯草菌を生やして納豆が作られる場合には発酵とよばれる