黒川清・日本医療政策機構代表理事監修 日本の医療制度は質、アクセス、コストを保証して医療サービスを国民に提供してきた。前回、医療データの共有化によって医療サービスの「質」を上げることができ、しかも「コスト」が下がるという話をしたが、今回は「アクセス」の話をしたい。 いま、医療機関へのアクセスが良いことが、かえって医療サービスの質を押し下げるという現象が起きている。 フリーアクセスがもたらす大病院の混雑 東京・御茶ノ水駅周辺。駅を出ると、いくつもの大学病院が目に入る。東京医科歯科大学医学部附属病院、順天堂大学医学部附属順天堂医院、駿河台日本大学病院など半径1.5キロ以内に10近くの大病院がひしめいている。 それにもかかわらず、こうした大病院の混雑ぶりは相変わらずである。「3時間待ちの3分診療」と言われて久しい。大病院に患者が集中し診察時間が短くなっていることに関連して、これまでもいくつかの問