黒田東彦・日銀総裁の任期が終わりを迎えている。「リフレ派」として知られる若田部昌澄・早大教授は、黒田総裁の約5年にわたる金融政策をどう評価しているのだろうか。2%の物価目標の達成に向けて、今後求められる政策などをたずねた。 日本銀行の政策委員会室。ここで金融政策決定会合が開かれる〔日本銀行提供) 異次元緩和の実体経済への好影響は評価 ―黒田東彦総裁の5年間をどう評価していますか。 「基本的には2%物価目標を達成することを目的として始まった体制だ。なぜ2%かというと、物価をデフレからマイルドなインフレにすることで、インフレを加速しない失業率(NAIRU)を達成し、日本経済を良くするという目標があった。黒田体制になり、(2017年12月の生鮮食品を除く消費者物価指数が前年同月から0.9%上昇するなど)物価が持続的に下落するという意味でのデフレではない状況にもってきたこと。これは非常に大きい。有