毛利元就と言えば、「三矢の訓(おしえ)」が有名だ。 元就の臨終の床で、長男隆元(たかもと)、次男吉川元春(きっかわもとはる)、三男小早川隆景(こはやかわたかかげ)の三人の息子を枕元に呼び寄せて、矢を一本ずつ与えて「折ってみよ」と命じ、息子たちが難なくこれを折った。 今度は三本の矢を束にして、また「折ってみよ」と命じたところ、息子たちは誰もこれを折ることが出来なかった。 元就は一本では脆い矢も束になれば頑丈になることを示し、毛利家も三兄弟が結束すれば、他国から攻められることはないと訓えたという話だ。 この「三矢の訓」の話はテレビでも何度か子役が出てくるのを見たような記憶があり、人形や絵などでも見たことがあるので私も長い間本当にあった話だと信じていたが、最近になって友人からこの話は、時代背景からあり得ないことを教えてもらった。 まず、毛利元就がなくなったのは元亀二年(1571)で、享年75歳で