学生時代に田沼意次(たぬまおきつぐ)を学んだ時に、「賄賂政治」をしたなどと書かれていてあまり良いイメージを持っていなかったのだが、最近では田沼時代が評価されてきているようだ。 たとえば一般的な高校教科書である『もう一度読む 山川の日本史』を読むと、昔の教科書とは異なる書き方になっていることに気付く。 「…10代将軍家治は直接には政治を指導せず、この時代に権勢をふるったのは田沼意次であった。意次は600石の小身から身をおこして大名となり、側用人、ついで老中として20年間も幕政の中心にいたので、この時代を田沼時代とよんでいる。 意次は幕府の財政を救うため、大商人たちの経済力を利用してそれまでにない積極的な政策をとった。幕府直営の座を設けてと銅や鉄を専売にしたり、一般商工業者の株仲間を積極的に公認して運上・冥加金を徴収したり、俵物とよばれる海産物の増産につとめて中国に輸出するなど、幕府の収入の増