Ricoh GX100 / Shibuya / Tokyo. 友人が経験した実話にもとづく、セックスより深く切ない、一晩の物語を綴ろう。あまりない話だ。自分の体験談ではないので、細かい部分や心情描写には脚色が入っているけれど、実話の基本線はブレないように織り上げます。あなたはそれでもセックスできますか?それでも愛せますか? 物語がはじまる数週間前のこと。どうひいき目に見ても女好きの直人(仮名)は、mixiを次から次へと彷徨っていた。いつものことだ。自分のプロフィール・ページについた足跡を踏み返し、少しでも共通項があればかならずメッセージを送ってみるのが、彼の流儀だった。カチカチとマウスをクリックする音が小さな部屋に響き渡る。飲みかけのコーヒーから湯気が姿を消したそのとき、目の色が変わった。発見したのだ。同郷で同い年の女の子を。彼が幼少期を過ごしたのは鹿児島よりも南方に位置するとある小さな島