残念ながら最近、飛行機で見た作品なのですが、「さすがクリント・イーストウッド!」と、その映画作りの達人技に引き込まれ、思わず機内で落涙した2作をご紹介します。まず一本目は、ブロードウェイのヒットミュージカルを映画化した『ジャージー・ボーイズ』。1960年代に世界的大ヒットを生んだポップ・グループ、ザ・フォーシーズンズの成功と挫折と再起を描いたストーリー。「シェリー」や「君の瞳に恋してる」など、今でも誰でもが耳にしたことのあるスタンダード・ナンバーが全編に流れ、往年のポップスの甘くセンチメンタルな歌声に心の琴線の最もナイーブな部分が刺激されてしまいます。イーストウッドはこれまでにウエスタンミュージックやジャズなど「音楽」を映画の題材として愛を持って扱ってきましたが、これもアメリカ文化が生んだ音楽(ポップ・ロック)がひとつの主役。 また、もうひとつ彼が愛する50〜60年代のアメリカンスタイル(