ぱらぱらと勝海舟の「氷川清話」をめくっていると面白い記述をみつけたのでメモ。 行政改革といふことは、よく気をつけないと弱いものいぢめになるよ。おれの知つてる小役人の中にも、これ迄随分とひどい目に遭ったものもある。全体、改革といふことは、公常(こうへい)でなくてはいけない。そして大きい者から始めて、小さいものを後にするがよいよ。言ひ換へれば、改革者が一番に自分を改革するのサ、松平越中守が、田沼時代の幣政を改革したのも、実践躬行をやつて、下の者を率ゐていたから、あの通りうまく出来たのサ。 確かに今「改革」を叫んでいる政治家に限って自分は改革していなかったりして(笑)。 いくら戦争に勝つても、軍艦が出来ても、国が貧乏で、人民が喰へなくては仕方がない。やれ朝鮮は弱いの、支那は無気力だといつても、国家の生命に関する大問題が其方(そっち)のけにせられるやうでは、まだ鎖国の根性を抜けないというふものだ。