■イップ・マン 葉問 (監督:ウィルソン・イップ 2010年香港映画) ブルース・リーが生涯ただ一人師と仰いだ男、その名はイップ・マン。この映画は中国武術・詠春拳を操る彼の人生の1ページを描いたものだ。 舞台は1950年、英国統治下の香港。この時代の香港の事など何も知らないけれど、映画で描かれるその町並みは、なにか日本の昭和中期を思わせるような貧しさと同居した懐かしさを覚えさせる。映画『イップ・マン』はまずこのセットのひなびた美しさに目を奪われる。そこで暮らす人々も本当にその時代そこで生きていたかのような存在感を持って町のそこここを闊歩する。主人公イップ・マンは家族を連れ広東省からこの町に移住してきた男だ。彼はこの町で武術道場を開こうとしていた。 このイップ・マンを演じるドニー・イェンの佇まいがひたすらにいい。物静かで、柔和で、実直で、常に泰然とし、超然とし、穏やかな表情を浮かべ、口数少な
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