最近いろんなところでもてはやされている「江戸しぐさ」。 怪しい。怪しいですねえ。 「肩ひき」「腰うかし」「傘かしげ」……。 たとえば、「傘かしげ」とは、狭い路地ですれ違いざまに、お互いに傘をかしげて、ぶつからないようにする。 相手を思いやる江戸っ子の粋さで、殺伐とした現代人が忘れた意気がそこにある……という言われ方をしている。 (ちなみに、僕の家の近くにも狭い路地があるが、そこでは今でも雨が降ると必ず「傘かしげ」をみんなやっています。やらないと通れませんので) しかし、これなんかおかしくないか。 江戸って、「火事と喧嘩は江戸の華」と言われたように、ほとんど現代のバクダッドのように治安の悪い場所じゃなかったのか。 「傘かしげ」をしてみんなが思いやりあっていたら、はじめから喧嘩など起こるわけないんだが。 ましてや、喧嘩が名物になることなどありえない。 だいたいこの手の道徳は、必ずしも実際に行わ