ガタン…ガタン… 電車に揺られている。 不要不急の外出を避け、テレワークに励んでいた社会人が1ヶ月ぶりの電車に年甲斐もなくはしゃいでいた。 自宅軟禁を終えたアウンサンスーチーもこんな気分だったのだろうか。 だが、嬉しいことばかりではない。 今から男と性行為におよぶのだという揺るがない事実が私の心を曇らせる。 車窓から差し込むネオン街の灯りが虚な眼を照らした。 そして、本日の決戦の舞台、鶯谷へと到着する。 なぜこのようなことになったのだろうか? 時は遡り、前日の晩。 私は友人たちと葉巻をふかしながらワインを飲み、まさに独身貴族生活を満喫していた。 独身貴族が集まる