中華街のヤワラートには創業数十年といった老舗が無数にあり、私の知的好奇心をとことんくすぐってくれるエリアです。 渋い店が点在するヤワラートで、今回紹介する『ライヘンポーチャナー』の渋さたるや数百店舗を取材してきた私でさえ、近寄りがたい雰囲気を発している稀有な食堂といっていいでしょう。 海南島出身の華僑が開いた『ライヘンポーチャナー』 ヤワラート通りからSong Sawat通りへと入り20メートルほど南下。この通りは何度も通ったことがあったにも関わらず、『ライヘンポーチャナー』の存在に気づかなかったのは、開店休業しているような寂れた食堂然としていたからでしょう。 開店休業を想起させる原因として考えられるのは、まず軒先に置かれたショーケースを挙げておきたい。ショーケースとはカオマンガイ店でよく使われているものと同じで、同店にあるのは食材のひとつも保管されておらず、不用品のごとく店の前に居座って